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自転車事故 自転車運転ルールや違反の罰則の解説

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自転車の運転ルールと自転車事故

自転車の運転ルールと自転車事故

交通事故弁護士資料

自転車事故の発生状況

日本は,オランダ,ドイツ,デンマーク,ノルウェー,スウェーデンに続いて人口当たりの自転車の保有台数が世界で6番目に多いという話があります。確かに,日本人は子供のころから親に自転車を買い与えられ,大人になってからも日常利用している方は大変多いです。近年はコロナ禍や運動ブームもあり自転車通勤もよく見られるようになりましたね。

しかしその分,自転車事故は大変多く,令和2年には自転車事故による死者・重傷者の数は年間7000人弱となっています(警察庁交通局統計)。

自転車乗車中の事故については対自動車の事故がほとんどを占めます。事故類型別としては、出合い頭衝突が55%,右左折時の衝突が28%,追越追抜時の衝突が4%,追突が4%,その他は10%となっています。

自転車と自動車の出会い頭事故での自転車側の法令違反としては,違反なしが22%、安全不確認が22%,一時不停止が16%,交差点安全進行義務が16%,信号無視が7%,動静不注視が6%,その他が6%,優先通行妨害等が3%,その他の安全運転義務が1%です(以上同統計)。自転車の運転に免許がいらないこともあり,信号無視や一時不停止など明確な交通ルール違反が多いのが自転車事故の特徴と言えるかと思います。

最近では,自転車の乗車中にスマートフォンを利用したり,音楽を聴きながら危険な運転をし,事故を起こしてしまうケースも発生しています。

自転車にも運転がある

自転車の安全運転のために,自転車の交通ルールが定められています。

もっとも,自転車の運転ルールは徹底されていないのが実情です。例えばルールに従えば,自転車は軽車両扱いであり原則として車道を走らなければなりません(後述)。

しかし,皆さまご承知の通り,ロードバイクやマウンテンバイクなどを趣味としている一部の方が自転車で車道を走っているのを除き,ママチャリやふつうの自転車は,歩道を走るのが原則になっている実態がありますよね。ママチャリで車道を走るのはかえって危険ではないかという意見も強いところです。ルールをどこまで守ることを徹底すべきかは,ルールなのだから守れという立場もあり,実態を見ろという立場もあり,難しい問題です。

ルールを離れ更に言えば,自転車は歩道を走ると歩行者の迷惑になり,車道を走ると自動車の迷惑になり,歩道からも車道からも迷惑がられているのが交通の実態であったりします。こうなってしまった原因は自転車ユーザーにあるのではなく,そもそも狭い土地に自転車の走行を考慮せずに車道と歩道を作ってきた日本の歴史的経緯にあるように思われます。

いずれにせよ,自転車の交通ルールはルールとして定められております。形式的には罰則もありますので,少なくともルールがあるということは認識しておきましょう。
※違反について警察官から取り締まりを受けることは決して珍しくありません。

自転車安全利用五則(警視庁:自転車安全利用五則

警視庁は自転車の交通ルールとして以下のような自転車安全利用五則を広報しています。

1.車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先

道路交通法上、自転車は軽車両と位置づけられています。したがって、歩道と車道の区別のあるところは車道通行が原則です。自転車が車道を通行するときは、自動車と同じ左側通行です。道路の中央から左側部分の左端に寄って通行してください。一方通行道路で「自転車を除く」の補助標識があり、自転車の規制が除外となっている場合に通行(逆行)する場合も同じです。(違反は3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金)

これに対し,あくまで例外的に,自転車が歩道を走行することができます。

@歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識等があるとき。
A13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者や身体の不自由な方が運転するとき。
B道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行するのが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車の通行量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などの接触事故の危険性がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められるとき。

つまり,歩道に自転車通行可の標識等のないよくある道路では,特に車道通行困難でない通常の状況では,高齢でない一般の成人男女は車道の左側を走らなければならないということです(違反は3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金)。

また,上記の例外にあたり自転車が歩道を通行する場合は、歩道の車道寄りの部分を徐行しなければなりません。歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければなりません(違反は2万円以下の罰金又は科料。)

2.交差点では信号と一時停止を守って、安全確認

自転車は、道路を通行する際は、信号機等に従わなければいけません。特に、横断歩道を進行して道路を横断する場合や、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示のある場合は、歩行者用信号機に従わなければなりません。歩行者用信号機の青色信号の点滅の意味は、黄色信号と同じです。次の青色信号になるまで待ちましょう(違反は3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金)。

一時停止標識のある場所、踏切などでは、必ず止まって左右の安全を確認しましょう(違反は3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金)。

また,自転車は右折の場合は二段階右折が必要です。

3.夜間はライトを点灯

無灯火は、他から自転車が見えにくくなるので非常に危険です。安全のため、夜間はライトを点灯し、反射器材を備えた自転車を運転しましょう(違反は5万円以下の罰金)。

※無灯火は警察官によく指摘されやすい自転車の交通ルール違反です。

4.飲酒運転は禁止

お酒を飲んで運転することは、非常に危険です。自動車の場合と同じく酒気を帯びて自転車を運転してはいけません。また、酒気を帯びている者に自転車を提供したり、飲酒運転を行うおそれがある者に酒類を提供したりしてはいけません(違反は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(酒に酔った状態で運転した場合))。

※自転車にも飲酒運転があります!比較的重い罰則となっています。

5.ヘルメットを着用

児童や幼児の保護者は、児童等が自転車を運転するときや児童等を自転車に乗車させるときは、児童等に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければなりません。成長過程の子どもは体の重心位置も不安定で、転倒した時、頭部に重大なダメージを受けることがあります。児童等が自転車に乗るときはもちろん、幼児を幼児用シートに乗せるときも、幼児用ヘルメットの着用をお願いします。

なお,令和4年の道路交通法改正で,自転車を運転する場合に年齢に関係なくすべての利用者が乗車用ヘルメットをかぶるように努めなければならないこととなりました。

自転車乗用中の交通事故死亡者の人身損傷主部位として,頭部の損傷が58%を占めます。自転車乗用中乗車用ヘルメットを非着用時の死傷者に占める致死率は,着用時と比べて約2.2倍高くなっています(警察庁資料)。ヘルメットを着用することで自転車事故の際に死亡率を大幅に低下させることができますので,大人であってもヘルメットを着用して自転車に乗りましょう。

その他の自転車交通安全ルール

二人乗りの禁止

罰則は2万円以下の罰金または科料です。

並進の禁止

罰則は2万円以下の罰金または科料です。

自転車の速度制限は?

原付バイクは時速30キロが速度制限ですが,自転車には制限がなく,道路標識等指定の速度まで出していいという話があります。
自転車と言えばノロノロ走るものといった古い先入観から,法律が自転車の高速度走行を想定していないのかもしれません。自転車には速度を計測する機材が標準装備されていず,そもそも速度がわからないため,規制が難しいという問題もあるようです。

仮に法律的な規制がなくとも,自転車の高速度運転は大変危険ですから安全には注意してください。

自転車の交通ルール違反と損害賠償の関係

上記のような自転車の交通ルールの違反は珍しいものではないですよね。そして,警察も忙しいので,実際に取り締まりを受けることも多くはないのが実際のところです。

であるから,ルールを守らなくてよいといえるか?安全に配慮した走り方をしないでいいといえるのか?
実は,違反になるならない以外の観点で,考慮した方が良いお金の問題があります。

実は,自転車事故が起こった際に自転車側に交通ルールの違反があった場合,いわゆる過失割合(交通事故が生じた場合の双方の過失の割合比のこと)に悪影響がある場合があるのです。

過失割合の算定では,自動車やエンジン付きの単車,原チャリに比べ,自転車は保護されています。

しかし,例えば時速30キロで走行する自転車(そうとう早いですがスポーツバイクではあり得る速度です。競輪選手は自転車で時速70キロを出すそうです。)は単車扱い,つまりエンジン付きの扱いとなってしまい事故時には過失割合の計算で不利になります。また例えば,二段階右折をしなかった自転車はやはり過失割合の計算で不利になってしまいます。

交通事故に遭った場合のことまで考えれば,やはり自転車交通ルールは守るべきものといえるのでしょう。


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